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これで納得!1日にどれくらいのお水を飲んだら正解?

更新日:2022年10月1日


【 登場人物 】 

湯川先生:

精神科医、内科医。都内某所で開業。陸上部OB。医療、食事、運動、モチベーションに精通。

今年度から母校陸上部のコーチとして招聘。


月城萌絵(つきしろもえ): 

都内随一の進学校、東都大学付属高等学校に通う高校2年生。 父、母ともに帝都大学を卒業。父は医師で湯川の上司でもある。

学業は非常に優秀。内向的な性格。一条に対してだけ心を開いている。 容姿端麗で近づいてくる男子は多いが見向きもしない。あだ名は「東都の鏡」。


一条蘭(いちじょうらん): 

月城と同じ東都大学付属高等学校に通う高校2年生。

父は外務省勤務のキャリア官僚。 スポーツ万能。正義感が強く、誰に対しても物怖じしない。

敬語を使うのは非常に苦手。衝動的に動いてしまうこともちらほら。

将来の夢は外交官もしくは弁護士。あだ名は「東都の掟」。





湯川先生:

最近涼しくなってきたね


一条:

先生、今の私の姿をみてそれをいいます?(200mシャトルラン7本目を走り、汗が頬をつたって何度も流れ落ちていた)


湯川先生:

かなり追い込んでいるね。少し休憩して水を飲んでくるといい


一条:

いやです。私、練習中は水分をとりたくないんですよ


湯川先生:

そうなの?ずいぶん時代遅れな考え方をしているね。

その調子じゃ、うさぎ跳びをして自宅に帰りますと言いかねないね


一条:

先生、今日はずいぶん攻めてきますね


水の役割ってなんだろう?

湯川先生:

一条君、水の役割って何だと思う?


一条:

え、そんな事、突然言われても・・・、えっと・・・・脱水にならないようにするため・・・?


湯川先生:

なぜ、脱水になっていはいけないのかな?


一条:

うわぁ、ほんと、今日はいじわるだ・・・・わかりません(一条はしばらく考えてから言った)



湯川先生:

ごめん、ごめん。水分は細胞内や血管、細胞同士の間など、体の至る所に存在している。そして栄養、酸素、ホルモン、抗体などを運んだり、汗となって体温調整を行ったり、尿となって老廃物を排出する役目を担っているんだよ


例えば大量の汗をかき、十分な水分の摂取ができないでいると脱水状態になる。 脱水状態になると、腎臓にいくはずの血液量が減り、急激に腎臓の機能が落ちる。腎臓の機能が落ちると、尿の量は減り、老廃物を排泄できなくなってしまう



月城:

老廃物が排泄できなくなるとどうなるんですか?(シャトルラン7本目を終わった月城も話しの中に加わった。)


湯川先生:

倦怠感、吐き気に襲われたり、浮腫みやすくなる。あとは食欲が低下する。

それに、腎臓だけでなく、小脳、脳幹といった平衡感覚を司る部分への血液も減少すると、めまいが生じる。少し専門的な話になるけれど、さらに、血液量が減少すると、人は大事な部分を守ろうとして、脳など重要な臓器に流れる血流を少しでも確保しようとして、脳に繋がる血管を拡げる。この血管の拡張が近くに走っている三叉神経という神経を刺激する。すると、サブスタンスPやCGRPといった血管を拡張するための神経ペプチドが発生して、さらに血管が拡張する。それにより、さらにサブスタンスPが放出されるのだけど、このサブスタンスPは頭痛の原因にもなってしまうんだよ



月城:

なるほど、幅広い症状が出るんですね。(一条はこれを諸刃の刃というのか、背に腹は変えられぬというのかを考えていた)


湯川先生:

そうだね。実に多彩だ。そして、より一層脱水が進行すると、けいれんを起こしたり、意識障害になるなど非常に危険な状態になってしまう。普通はそこまで進行するまで水分摂取することが多いけど、高齢者は脱水を察知する機能が落ちていたりして、脱水になっていることに気づかずに進行してしまうこともある



1日に何リットルの水を飲むのが正解?

月城:

忍び寄る危険に気づかないなんて、本当に怖い。

水分って1日どれくらい飲めばいいんですか?


湯川先生:

結論からいうと1日何リットル飲めばいいのかについては十分な科学的根拠は見つかっていないんだよ。


一条:

えっ、うそ!?そんなに大切な水なのに。(一条が大きな声を出したので、トラックの中で練習していた、ラグビー部員が驚いてこちらを見た)


湯川先生:

(湯川が練習の邪魔をしてごめんよと言うかのように、そちらに向かって軽く片手をあげた)必要な飲水量を正確に算出するためには出納法といって、体の中に入ってきた水分量と排出された水分量を正確に計測しなければならない。もしくは水の代謝回転速度を測定するなどしなければならないんだけど、これらを元にした十分信頼できる研究はほとんどない


月城:

なるほど、確かに、全て決まった食材を提供してくれるような環境下で実験を行わないと難しそうですね


湯川先生:

飲水量としてどのくらい必要なのかは個人差が大きく、正確に測定するのはかなり難しい。では、なぜ「2リットル飲みなさい」という言葉をよく耳にするのか。この理由を知るために、まず次のことを理解しなければならない。人は体内で必要とする水を飲水と代謝水の二つから得ている


一条:

代謝水??(目を丸くして言う)


湯川先生:

代謝水というのは簡単に言うと食べ物からエネルギーを作る際に生じる水分のことだよ。そして、体外への排出は排尿はもちろんのこと、排便や発汗、呼吸でも行われている


湯川先生:

そして、通常の生活においてはINとOUTの両者は量的に釣り合うようになっている。また、代謝水と呼吸を通しての水の排泄はほぼ量的に等しいと考えられている。つまり、水分バランスは体外から摂り入れる水分量と総排泄量(排尿、排便、発汗)とほぼ等しいことと考えることができる。尿や便で約1.5リットル、汗で約0.7リットルほどで、これが総排泄量とすると、つまり合計2.2リットルほどを体外から水分として摂り入れなければならない


一条:

あっ、だから2リットル飲みなさいなんだ


湯川先生:

いやそうではないんだよ


一条:

えっ、違うんですか(一条は少し驚いた様子で湯川をしげしげと見た)



湯川先生:

僕たちが普段、水分をとるのは飲み水だけではなく、米、パンなどの食事にも水分が含まている。日本人の食事量からは約1リットルの水分をとっていることが多い。そうすると、飲み水からは1.2リットルほどの計算となる。つまり、耳にする1日2リットルというのは食事を含めた全体量となり、飲み水のことを言っているのではない


一条:

あっ、そっか!


湯川先生:

では、1日2L飲み水を飲んではいけないのかというと、そのようなことはない。単なる飲み水であれば、3Lでも一気に飲まない限り害はない。米よりパン食がメインの人は食事からとれる水分量が少なくなるし、平均的な体格よりも大きい人は必要となる水分量は多くなる、また発汗量は、体格、環境、身体活動、また年齢により容易に変動する


一条:

そんな複雑ではいくら飲んだらいいのかを算出するのは困難ですね



湯川先生:

実に難しい。運動量に応じた水分摂取量の考え方、体表面積から考える発汗量の計算式、体温、外気温が1度上昇したときの発汗量の計算式、等々あるにはあるけれど、これらも必要水分量を正確に計測するには十分とは言えない


よく言われる、日本人は2〜2.5リットル程度飲むという数値は健康な日本人成人を集めてきて、水の摂取量を16日間、食べた食事内容と食事量を記録(半秤量式食事記録法)してもらい、そこから得られる水分量を調べたところ、どうも、男性は平均2.5リットルほど、女性は2リットルほどであった。そこから、だいたいこのくらい必要なのだろうとして導き出した研究などが一つの基準になっている。なので、おおよその数値でしかなく、必要最低量とか推奨量とかではなくてあくまでも“目安量”なんだよ


一条:

う・・・ん、なんだかなぁ・・・。はっきりしないことが、脱水を作る要因になってしまうと思うな。はっきりこれくらいは絶対に飲めとわかったらいいのに。

そういったアプリ開発されないかしら。今日の睡眠、食事、外気温等々から本日は〇リットル飲む必要性がありますみたいな


湯川先生:

近い将来そうなるかもしれないね。だが、現状そういったものはなく、個々の置かれた状況で、必要水分量は簡単に変動してしまうので、口の渇きがあれば飲むといのうはもちろんの事、普段からのどの渇きが出る前に多少多めに飲まなければならない


一条:

う・・・ん、個々人に即した目安量の考え方って何かないんですか?


湯川先生:

そうだなぁ・・・、例えば体重×年齢別必要水分量(=A)を目安にし(25-54歳:A=35、55-64歳:A=30 65歳‐:A=25)であったり、日中の行動量が多い場合は3.3〜3.5 L/日程度ここから食べ物に含まれる水分量を考慮し、1000kcalで約400mlを引き算しおおよその水分量を割り出すというのも一手かと思うよ



月城:

ということは、私の体重は・・・だから、まぁ大体1.5〜2リットルくらいを意識して摂ったら良さそうですね。運動している時はもっと必要だろうからより意識してお水を飲むようにします


一条:

大変、私は練習中にもっと意識して飲むようにしなきゃ!





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