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無敵のモチベーションキープ術(前編)


【 登場人物 】 

湯川先生: 精神科医。医療、食事、運動、モチベーションに精通している

さつき: 非常に優秀。内向的な性格。あかりに対してだけ心を開いている

あかり: スポーツ万能。衝動的に動いてしまう。外交的。時に敬語を忘れてしまう・・・



あかり: 先生私、勉強に対して全然やる気が出なくって・・・、なんとかなりませんか


湯川先生: あかりさんは目標とかはあるの?


あかり: あります!現役で東大に合格したいです


さつき: えっ、東大!あかりちゃん、この前は早稲田って・・・


あかり: 早稲田あこがれるけど、お父さんに相談したら、東大に行けっていうから・・・


湯川先生: あかりさんはそれに対して納得しているの?


あかり: う~ん、まぁ・・・、早稲田もいいけど、東大もいいかなって。それにお金を出してくれるのは親だし・・・


湯川先生: なるほど。では、今日はモチベーションを高めるにはどうしたらいいのかを話していこう


さつき: えっ、そんな方法があるんですか?


あかり: 先生、教えて、教えて


具体的で自ら納得している少し高めの目標設定が鍵

湯川は、手元に置いてあったコーヒーを軽く口に含んでから、ゆっくりと語り始めた。


湯川先生: まずね、モチベーションを高めるための解決方法の糸口として、組織心理学の権威であるアメリカの心理学者エドウィンA・ロックは、1968年に目標設定理論を発表した。これはどうすれば目標を達成する可能性が高まるのかを示したものなんだけど、まずはそこに書かれている代表例をいくつか紹介するとしよう


あかり: 組織心理学、なんだかかっこいい響き


湯川先生: まず重要なのは、その目標を自分で納得しているかが一番重要になってくる。誰かに言われたものでも構わない。ただし、その目標に対して自分が納得していなかった場合、少しでも辛い事があると、もっと他の道があるのではないか、何故こんなことをやらないといけないのかなどと迷いが生じ始め、じっとその場所で留まってしまう


さつきはちらっと、あかりの方をみる。

あかりは納得したように何度も小刻みに首を縦に振っていた。


湯川先生: だから、まずは自分の前にある目標に対して自分が本当に納得したものであるのかを自問自答してみる必要があるね。その次に必要となってくるのが、目標が曖昧なものではなく明確で、かつ難易度が今の自分にとって高く感じるものであること。これに関して、ロックは面白い実験をしている


あかり: 実験!私、実験大好き!(と言って、その場で踊りだす)


さつき: あかりちゃん、先生の話をちゃんと聞いて


あかり: あっ、うん(踊り足りないのか、やや不満げな顔をする)


湯川先生: (二人のやり取りをみて、軽く微笑みながら)ロックはとある木材の運送会社のトラックの積載量を調査した。すると、法律で定められた最大積載量の60%程しか荷物は積まれていなかった。もちろん、できる限り荷物を載せるように指示はしてあったのだけれども、どの位積めばよいのかの明確な指示はなかった。そこでロックは「積載量を上限の94%にするように」と具体的な数字を示して指示を出した。すると9か月後には見事に最大積載量の90%まで積まれるようになっていたんだよ


さつき: 確かに闇雲にどこに進んでいいのかわからないときって、必死に頑張ろうとはしないかも。その場で留まった方が安心だろうし、つらくなる前に手抜きをしてしまうかも・・・


湯川先生: そうだね。それが人間の本質だね。この実験から、具体的で、少し高いなと思える目標設定をする方がモチベーションを高くなる事が示唆されたんだよ。もっと身近な実例をあげると、例えばあかりさんは納得した上で東大を目指したとする。でも、やっぱりそこは日本最高府。おいそれと突破できるものではない。でも、あかりさんは頑張って毎日できる限り遅くまで勉強を頑張ろうと決意する。でも、それではなかなかうまくいかない事が多い


あかり: 先生、わかっている~(さつきが横目で叱りつけるように見る)


湯川先生: そういったときは「夜遅くまで頑張る」ではなく、「夜11時まで3時間だけ勉強しよう」とか「今日は何ページまで仕上げよう」などと、普段自分が取り組めている内容よりも少し高めで、かつ具体的な内容にして実行すると目標を達成しやすくなる


あかり: 毎日3時間か~、今よりもちょっと多いけど、それなら頑張れそうな気がする


さつきは「毎日3時間もしてないのに、東大を目指すと言っていたの!」と口から出かかったが、なんとか飲み込んだ。


長期戦よりも期限を決めて短期決戦

湯川先生: あと、目標に向かって終わりが見えない長期戦をずっと戦い続けるよりは、期限があったほうがいい


さつき・あかり:期限??


湯川先生: そう、期限。締め切りともいうね。スタンフォード大学のエイモス・トヴェルスキーは「人は期限があった方が目標を達成しやすくなる」事を示唆する実験を行っている


あかり: スタンフォード!!全然知らないけど、なんだか響きが綺麗!!


湯川先生: ちなみに、トヴェルスキーは2002年にプロスペクト理論でノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンの共同研究者だったのだけど、トヴェルスキーは1996年に死去してしまっていたから、受賞には至らなかったんだよ


さつき: ノーベル賞って死んでしまうともらえないんですね


湯川先生: うん、そうだね。そのような偉大な功績をもったトヴェルスキーは、実験で学生達に「アンケート用紙に回答を記入し、提出したら謝礼金として5ドルを渡す」と伝えた。そして、そのうち半数の学生には「提出期限は5日後です」と伝え、残りの人には期限は設けなかった。すると、提出期限を設けなかった学生のアンケート提出率が25%ほどであったのに対して、締め切り日が設定された学生達のアンケート提出率は66%だった。これにより、明確な期限設定を行った方が目標設をクリアできる可能性が高まることが示唆されたんだよ


あかり: なんだか感覚的にもそれはわかる気がする。夏休みの宿題なんか締め切りがなかったら、たぶん冬休みの宿題と一緒にやる羽目になっていたかもって思う・・・


(後編へ続く)


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